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 2005年 第2回定例議会 一般質問
<要旨>
 国勢調査について
【9番陣内泰子議員】 無所属、そして、会派に属していない陣内泰子です。通告に従いまして、一般質問をいたします。
 その前に、通告に出しております特定事業主行動計画については、今回やらないで、次回にさせていただきたいと思います。また、時間の都合上、多少触れられない部分も出るかと思いますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、国勢調査についてお伺いいたします。
 ことしの秋には5年に1度の国勢調査が行われます。ことしは中間年ということで、17項目の調査です。世帯に関する事項としては、氏名、男女の別、出生の年月、配偶の関係、勤め先や従業上の地位など12項目、そして、世帯に関しては、世帯の種類や世帯員の数、住居の床面積等、5項目となっています。ことしから調査票と一緒に整理用の封筒が配られますが、調査員が1軒1軒訪問して、調査票を手渡し、手回収するという方法は、基本的に国勢調査が始まった1920年以来、変わっていません。
 しかし、最近、新聞等でも報じられているように、個人情報を悪用しての事件が起こっており、個人情報保護の必要性、また、重要性が高まっています。市民意識にも大きな変化が生じてきています。内閣府の世論調査では、個人情報の漏洩に不安を持つと回答した者は、10年前では平均で40%でしたが、2003年においては69%にもなっています。しかも、世代間格差が大きく30歳代では88%の人が不安に思っているところ、70歳では40%という数字になっています。
 国勢調査は、対面で、調査票の確認等を行うことを原則としていることもあり、調査員と記入者の間の意識ギャップがトラブルの原因ともなっています。国勢調査は、統計法第4条で、人口に関する全数調査と規定され、1度も適用されていないとはいえ、罰則規定があり、協力しなければならないとされています。非常に重要な調査とされているのですが、700億円もの予算を使ってやる必要があるのか、住民基本台帳や厚生省の人口動態調査で人の動きはわかるのではないかといった疑問も出されてきています。また、その結果がどういったことに使われるのかはっきりしていないといった指摘もなされているところです。
 こういった状況下で、国勢調査が本当に必要なものなのか、調査項目が妥当なのかどうか、今のような調査方法でいいのか、検証する必要があります。そこで、2000年のときに国勢調査がどのように実施され、どんな問題があったのかをお伺いいたします。
 まず、調査票が回収されない場合です。聞き取り調査を行うとされていますが、この聞き取り調査票作成件数はどれぐらいあったのでしょうか。
 また、前回は封入用のシールが配られたのですが、このシールを配って出された封入数とその率、郵送数、持参件数、苦情受け付け件数とどんな内容のものであったのかをお知らせください。
 また、指導員段階でのチェックの際の記入漏れによる後追い調査数及びどんな項目で未記入が多かったのか、これらもお示しください。
 電話相談の件数についてもお伺いいたしたいと思います。
 問題とされている聞き取り調査についてですが、実際にどのように行っているのか、具体的な流れをお示しください。
 また、聞き取り調査や後追い調査に関して、調査の精度を高めるためということで、住民基本台帳を使ったかどうか、これについてもお答えください。電話での問い合わせ等もあったのでしょうか。  そして、こういった5年前の調査の反省として、今回はどういった点に留意し、また、配慮するのか、変更点がありましたら、それについてもお知らせいただきたいと思います。
 次に、教科書採択についてです。
 中学校の教科書採択に向けて、今、調査検討作業が進められているところです。10日に山越議員の一般質問にもありましたが、採択の検討手順が非常にわかりにくいということもありまして、再度お聞きいたします。
 各学校からの報告、そして、調査部会からの報告が、それぞれ選考検討委員会に集められ、それらをまとめて教育委員会に報告し、教育委員会が採択するという流れになっているということですが、具体的に日程等、どのようなスケジュールで進行しているのでしょうか。社会と美術の教科書がかなりおくれて配本されたと聞いています。
 八王子の場合、38校ある中学校を4ブロックに分け、各ブロックにワンセットずつ見本本が回覧されているのですが、各ブロックの一番最初の学校に見本本が回ったのが何日で、ブロック内の最後の学校──ブロックに9校から10校あります──が手にするのは何日で、そしてまた、何日までに検討委員会へ調査報告を提出することになっているのでしょうか。お知らせください。  調査部会は、4つのブロックから選出された10名程度の先生方で構成されているということですが、調査部会では、報告書を出すには何回ぐらいの会議を持ち、報告書を作成し、事務局にいつまでに提出するのでしょうか。また、どのような検討がなされているのでしょうか。かなり大変な作業と思います。
 また、報告書についてです。各学校からの報告、そして、調査部会が検討委員会に提出する報告用紙はA4用紙、横軸に教科書会社、縦軸に調査項目といった形式になっています。調査項目は、1、内容、2、構成及び分量、3、表記及び表現、4、使用上の便宜、5、重点調査項目の5項目になっています。各学校から提出される報告書には5番目の重点項目欄はありません。とても記述する欄が少ない。そのようになっています。2行程度で簡潔に書くように、また、意見ではなく、比較検討したことを書くようにといった指導もされているようですが、これで十分な調査検討資料と言えるのでしょうか、お答えください。
 また、重点調査項目の設定はだれが行うのでしょうか。
 次に、採択の権限はどこにあるのか、お聞きします。
 5人の調査員で構成される教育委員会に最終的にあるということでしょうか。お答えください。教育委員会が決めるに当たって、どれだけの情報がどういった形で教育委員会に上げられるのでしょうか。十分な情報が教育委員会にもたらされるのかどうか、非常に心配するところです。
 以上で1回目の質問を終わります。

【秋山進副議長】 総務部長。

【下田豊総務部長】 国勢調査に関しまして、12年度の実績を中心とした御質問にお答えいたします。
 まず、聞き取り調査件数ですが、1万3,685件。封入率等ですが、4万3,056件。率が20.4%です。郵送関係が41件、市の方へ持参した件数が83件。
 苦情の件数と主な内容でございますが、苦情だけという形ではとらえておりませんので、ほかのことを含めて、後ほどお答えいたします。苦情の主なものでございますが、顔見知りの調査員に調査票を提出しにくいというようなことで、調査員の選考方法に関すること。それから、調査項目で前回の場合には、最終卒業学校とか、勤め先の名称ということがございましたので、そのような調査項目の必要性について。3点目といたしましては、調査員が民間の調査員の場合がございますので、民間の調査員で秘密が守られるのかどうか。このような点が苦情の主な点でございます。
 記入漏れがあった場合の後日調査ですが、統計の担当が中心となって実施本部員になっているんですが、実施本部員が当該世帯へ電話により照会いたしました。
 そのような記入漏れの主なものでございますが、3点ございます。世帯主との続柄の関係、5年前の居住地の関係、直前1週間に仕事をした時間の関係、これが記入漏れで多かった点でございます。  電話による相談件数でございますが、苦情、質問をひっくるめて、4,100件ほどでございます。  聞き取り調査の場合の具体的な流れでございますが、聞き取り調査を行う場合は、調査員が回収に世帯を伺っても世帯員と面会できずに、前回の場合ですと、10月9日までに調査票が回収できなかった場合、調査員が近隣の住民の方等に聞き取り調査を行いました。その後、当該世帯に対し、指導員が調査票を郵便で提出してもらえるよう、依頼のメモを返送用の封筒と一緒に郵便受けに投函しまして、その世帯から調査票が郵送されてきた場合は、調査票と差しかえを行いました。このようなことでございます。
 住民基本台帳は使用しませんでした。
 前回の反省を踏まえまして、17年度の調査で変更した点でございますが、まず、プライバシーの保護ということに重点を置いております。よりプライバシーが保護できるようにとの観点から、記入した調査票を調査員が見えないように封入する封筒を全世帯に配布することにいたしました。それから、私どもの方といたしましても、調査員に対しまして、従来以上に調査に当たっての個人情報の保護を徹底するように指導していきたい、このような点が主な変更点でございます。

【秋山進副議長】 教育指導担当参事。

【岡本昌己教育指導担当参事】 教科書採択のスケジュール、手順でございますが、採択事務に当たりましては、各学校の報告書及び教科別の調査部会の中間報告書が6月14日の第2回の選定検討委員会に報告されます。その後、調査部会の最終報告は、6月27日を目途に行われる予定でございます。さらに選定検討委員会はこれらの報告をもとに、7月11日に調査報告書を作成いたします。その後、選定検討委員会の調査報告書を参考に7月20日及び7月27日に行われます教育委員会の定例会におきまして協議を経て、8月10日の教育委員会で採択される予定でございます。
 続きまして、社会科の教科書がおくれたということでございますが、社会科の教科書は5月18日に市の方に届きまして、学校の方には20日から配っておりまして、6月8日にはすべての学校に回りました。各学校の報告書が検討委員会に提出されるのは、6月10日を予定しております。検討委員会に上げられるのは6月14日で、その前、事務局が10日でございます。事務局が10日で、検討委員会が6月14日でございます。
 何回ぐらいの会議が持たれるかということでございますが、各調査部会ごとに必要な回数を決めておりますが、おおむね3回ないし4回の部会が開かれていると聞いております。
 続きまして、採択の報告書の記述欄がとても少ないということでございますけれども、調査報告書の形式は、各社の特徴と特色が簡潔に記入できるようにしておりまして、各社の違いが明確に、明瞭になるように書いていただくということをお願いしてございます。これによりまして、簡潔ながらわかりやすい調査報告書がつくられるというふうに考えております。
 重点項目につきましては、各調査部会の方の責任において決定しているところでございます。
 続きまして、採択権でございますが、これは地教行法の23条第6項及び教科書の無償措置法に関する法律の第13条等によりまして、教育委員会の職務権限にございます。
 教育委員会にどれだけの情報が上げられるかということでございますが、教育委員会には各学校の調査報告及び教科別調査部会の調査報告、それから、市民からのアンケートを参考にいたしました検討委員会の報告書が報告されます。

【秋山進副議長】 第9番、陣内泰子議員。
                   〔9番議員登壇〕
【9番陣内泰子議員】 いろいろ御答弁をいただきました。
 国勢調査に関しては、より個人情報の保護に配慮して行っていくということで、ぜひそのように行っていただきたいと思いますが、その点については、追って幾つか御質問していきたいと思います。  教科書選定に関しては、なかなか流れが見えない。そして、とても短い期間での検討。そして、簡潔に調査を比較するような報告書を作成するということにおいて、非常に大きな問題があると感じております。
 それでは、国勢調査についての第2回目の質問を行います。
 2000年の国勢調査の折、NPO法人、情報公開クリアリングハウスという市民団体が国勢調査ホットラインを設置したところ、多くの苦情等が寄せられたということです。拒否したいが罰則はあるのかといった問い合わせが多かったと報告しています。顔見知りの調査員は嫌だ、調査員とのトラブルがあったといったことも多く寄せられていたとのことです。これは先ほど報告がありました八王子市の苦情等の電話相談等の中でも出されていることです。調査員とのトラブルは調査終了後の日常生活にまで尾を引くものであり、世帯の悩みはかなり深刻と言えます。また、単身女性世帯をめぐってのトラブルも目立っていたということです。調査員からすれば、調査を全うするという職務に対する責任意識からの行動とはいえ、深夜の訪問や、嫌がらせ、セクハラと受けとめられかねないケースも見受けられたということです。多くの調査員の方々は、個人情報保護マニュアルで事前打ち合わせを行い、誠実に国家公務員として国勢調査に当たっておられるとは思うのですが、残念なことに、こういった声もあるということも事実です。
 調査項目については、今回、調査対象になっていませんが、学歴について書きにくい、これが一番多かったと言っています。総務省が実施した調査後のアンケートでも、勤め先の名称や学歴、そして、家計の収入の種類、本人の仕事の種類、これらが答えにくいという内容になっています。本市での未記入の場合には世帯の続柄、そして、1週間の勤務時間などについてが答えにくい、未記入となっているという御答弁でした。
 また、見られたくないといった意思表示としての封入提出率は、東京都全体で27%にも及んでいます。また、回収できなかった件数の割合も、都全体で言うと32万世帯、5.9%です。オートロックマンションなどの普及といった住宅構造の変化やライフスタイルの多様化、ストーカー被害の増加や治安の悪化などによって、調査員が訪問しても会えない、会わない世帯が増加している状況を反映しています。
 本市の場合でも、答弁にありましたように、封入率は20%。聞き取り調査で回収できなかったものが1万3,600件余りということです。つまり、約21万世帯のうち5.7%余りが調査不能ということになります。全数調査といい、国民が協力しなければならないとして、膨大な費用と労力、八王子の前回の調査員は全部で3,752人、また、指導員の数は390人になっているのですが、このように多くの人の手と時間をかけて行われる国勢調査の実態が以上になっています。
 これだけの労力と費用を投入して行う国勢調査がどのようなことに使われるのか、具体的にお示しください。
 では、実際的なことをお聞きします。聞き取り調査についてです。聞き取り調査員は、今、御説明があったように、会えなかった場合、氏名、性別、世帯の構成、出生の年月、この4項目を調査員が近所の人に聞いて、記入するという仕組みになっているのですが、これは問題のある調査方法と言えます。まさに探偵まがいのことを国が国の予算を使って行っていると言えないでしょうか。郵送されたものについては差しかえるということですが、御近所から世帯構成などを聞き取るということが行われるわけです。プライバシーの侵害にも当たると思うのですが、聞き取り調査を行わないということはできないのでしょうか。お答えください。
 次に、調査員、指導員についてお尋ねいたします。調査員の選任はどのように行っているのでしょうか。一番多くの問題は、近所の人、顔見知りの人が調査員であったということに対する不信や、民間の人で調査の結果がどこかに漏れるのではないかといったことが心配されています。今回は、何人の人にお願いしたのでしょうか。選任方法と人数をお答えください。
 公募を取り入れるというようなお話もあるようですが、取り入れるとしたら、公募の割合はどれぐらいを予定されているのでしょうか。
 そして、選ぶに当たって、何か問題はなかったでしょうか。選考においての問題点等ありましたら、具体的にお答えください。というのも、実際に調査員になられた方が、二度とやりたくない。どうしても町会、自治会の方から頼まれたので、仕方なく引き受ける。また、地域の人と関係が悪くなった、体調を崩したなど、調査員の方々からのいろいろな意見が、このホットラインにも寄せられていたからです。  また、どの調査員がどの地区を担当するかという件についてですが、調査員の訪問で、近所の人が来たという苦情に対して、多くの配慮がなされなければならないと思っています。それについては、クロス配置というのですか、自分の居住している調査区でないところを担当するという配慮が実際にはなされているわけですが、2000年の調査においては、まだまだそれが十分徹底されず、7割以上の調査員の方々が自分の居住地、または隣接居住区を担当するという結果になっています。
 今回、このクロス配置をより徹底させていただきたいと思います。個人情報のプライバシーにより配慮するという方針を出されている以上、ぜひこのクロス配置の徹底をもお願いしたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
 次に、指導員についてです。封入された調査票の封をあけるのは指導員の仕事と聞いています。具体的に指導員になる人はどういう人で、どういうことをやるのでしょうか。持ち帰りによるチェックもあったということのようですが、今回の方針ややり方をお聞かせください。
 次に、提出方法についてです。前回はシールが配られ、調査票をシールで封をするということができたのですが、すき間から見られる。シールを張るなと言われた。お宅だけだ。はがしてみてもわからないといって、大変不評でした。今回は封筒が同封されると伺っております。しかし、あくまでも整理用としてお使いください。また、封をして調査員にお渡しすることもできますといった表現になっていて、これでは、封筒に入れて出していいのかどうかよく理解できません。
 355万の人口を抱える横浜市では、全世帯封入提出方式を採用すると決めました。調査票と同時に、封入して提出してくださいというチラシを配布し、調査員も封をして提出してくださいと口頭で言うことになっていると伺いました。ホームページにも、国は任意の封入提出方式ですが、横浜市としては、全世帯、封入提出方式で実施しますと明確に市の方針を打ち出しています。これは、個人情報に配慮した結果ということで、この方式がとられているわけです。
 また、前回、三鷹市や荒川区、杉並区や国分寺市などでも、住民の不安を少しでも解消しようと、独自の取り組みを行ってきています。
 そこで、八王子市としても、封筒が配布されるのですから、三鷹市や国分寺市が試みたように、原則として封入提出、郵送、持参もできます。またさらに、封入提出調査票はチェックしませんので、正確に御記入くださいというようなチラシを一緒に配ることを御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。法定受託事務ということで、国が決めたやり方でやることを義務づけられているといっても、封をして出してもいいと思います。いいんですよねと確認したいと思います。その場合、どういった流れになるのでしょうか。教えてください。
 今回は封筒が配布されます。新しい試みなので、ぜひ積極的に広報というか、周知を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、教科書採択に関する2回目の質問を行います。
 教科書を検討する期間については、短いということを確認しているというのは先日の御答弁でありました。ことしの場合、2泊3日どころか、先ほどのスケジュールによるならば、1泊、2泊といったまさに強行スケジュールになっていることがわかりました。社会科で言うならば、地理6社、歴史8社、公民8社の教科書を見るのですから、余りにも短過ぎると言えます。調査部会について言うならば、ここが専門的な調査部門という位置づけのようですが、その検討方式は、それぞれが教科書を担当するか、また、項目を担当するかといったやり方にならざるを得ないということで、十分な専門性を発揮できる環境にないと思われます。しかも、3回から4回の会議日程とのことです。
 さて、10日の朝日新聞によると、東京都の教育委員会は、採択に当たっての都独自の着目点として、我が国の領域、北朝鮮による拉致問題、日本の神話と伝承、性差の表現、この4項目を調べ、区市町村に送付したと報じています。これは、私自身、金曜日の夕刊のことなので、まだ都の方にきちんと確認していません。新聞の情報の段階でこれから話を進めさせていただきます。
 こういったことは都の教育委員会が通知した、採択に当たっては採択権者がみずからの責任と権限において、適正かつ公正に行うことといった内容に反した、自治体の自治を犯すものだと考えます。市教委にこういった調査資料が届いているのかどうか。また、届いている場合、どう取り扱うのか、お聞かせいただきたいと思います。
 このような資料が、まさに今検討中である、そのときに提供されるということは、調査部会が決めるとされている重点調査項目の決定や採択に影響を与えかねないと考えます。
 この着目点とされた4項目については、なぜこの4項目なのか、とても恣意的に感じられます。そこで、この4項目について、私自身、教科書を検討してみました。
 我が国の領域で、竹島、尖閣諸島のことに触れてあるのは、新しい歴史教科書をつくる会の主導による扶桑社の教科書のみでした。あと他の1社が地図を載せ、領土の保全として竹島や尖閣諸島を記入し、交渉中とのキャプションが書いてあるものでした。
 また、日本の神話と伝承という項目についても、扶桑社の教科書は神武天皇の記述に1ページを割き、また、コラムでも2ページを取り上げています。これ自体、私自身は、なぜこのようにページを割くのか、バランスを欠いているという印象を持ちますが、他の教科書会社においては、記入のないものが2社、あとの5社はほとんど二、三行で、ないしは風土記などを引用したり、また、簡潔な表現がほとんどになっています。
 このような4点項目、それを例えば男女平等とか、住民基本台帳ネットワークとか、従軍慰安婦、また、戦後補償、非核三原則などといった別の項目のチェックをするならば、結果はおのずと違ってくるのは明らかです。その意味でとても恣意的であると言いたいわけです。調査の重点項目を何にするのか、それは調査部会に任されているものであり、東京都教育委員会は、東京都教科用図書選定審議会の答申を得て通知してきた、先ほどの繰り返しですが、採択権者がみずからの責任と権限において、適正かつ公正に行うこととした採択方針そのものを覆すような資料を提供していると言えるのではないでしょうか。この点についてのお考えをお聞かせください。
 八王子には1ヵ所しか教科書展示会場がありません。教育センター、かなり駅から遠いところですが、ここに行って見てまいりました。歴史、公民教科書を他社の教科書と比べながら、見てきたわけです。扶桑社の歴史教科書、公民教科書については、先日の一般質問でもあったように、子どもと教科書全国ネット21を初めとした16団体から、つくる会の教科書を子どもたちに渡してはならないといった共同アピールが出されていることは周知のことです。
 私自身、この教科書を見てまず感じたことは、自衛隊の写真が他の教科書に比べて大変多く載っています。自衛隊のPKOの活動や海外派兵については憲法違反であります。また、太平洋戦争の表記においても、大東亜戦争というようになっています。こういった表記は他の教科書には見られず、また、今までにおいても、こういった表現は皆無でした。大東亜戦争という言い方は、戦前、大東亜共栄圏といって、アジア諸国を植民地化していこうとしたときに使った戦争のための名目であり、スローガンとして使われていた用語です。また、さきの戦争がアジア諸国の解放のための戦争といった表現になっていて、韓国、中国の怒りや批判を買う原因にもなっています。これは、日本政府も明らかにしてきた近隣諸国への戦争加害に対する謝罪表明とは基本的に相入れないと言えます。検定基準に加えられた近隣条項にも反するものと言えます。また、戦争がもたらす多大な被害も消されています。
 その一方で、真珠湾攻撃の写真を掲載し、そのキャプションとして、戦艦4隻を撃沈、空母は不在で、損害を与えられなかったと、このように書いてあります。日本の将兵は、敢闘精神を発揮してよく戦ったという表現と同様、戦争賛美であり、また、平和を希求する思いはとても感じられません。  従軍慰安婦の記述も、彼女たちが受けた被害の記述もありません。これは扶桑社だけではなく、他の教科書についても同様です。
 1997年の時点で、すべての教科書にこの問題が取り上げられていたわけですが、わずかな期間の間に歴史の記述が変化してきてしまったということです。1992年、日本政府は、軍の関与を認め、謝罪の意を表明しているにもかかわらずです。新たに明らかにされてきた史実がまたやみに葬り去られようとするのです。
 また、生徒の半分が女性であるにもかかわらず、女性が取り上げられている数が少なく、人物コラムでは紫式部と津田梅子だけになっています。また、それの取り上げ方についても、種々意見があるところです。
 また、特攻隊を見送る女性の写真の掲載などを見ると、まさに戦う男性、見送る女性といった図式を印象づけるものとなっています。女性も戦えばいいのかということではないことは明白です。  また、公民の教科書でも男女平等の記載に対して、他の教科書と大きな隔たりがあります。扶桑社の教科書では、男女の性差をかけがえのない個性ととらえて、それぞれの役割を尊重しようとする態度も大切であると言い切っています。しかし、日本が1985年に批准した女子差別撤廃条約は、あらゆる区別は差別であると言っています。また、1999年に反対なしで成立した男女共同参画社会基本法でも、その前文で、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任を分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる、男女共同参画社会の実現は、緊急の課題となっているとしています。このような条文、並びにこのような法律の精神に反する記述と言えます。
 そして、男女共同参画社会基本法も、女子差別撤廃条約の条文も、掲載されていません。残り7社を見るならば、両方の条文を載せているところもあれば、どちらか1つというところもあります。また、7社全部にどちらかの条文掲載があり、本文でも、雇用や家庭内で平等がまだ実現していないということを述べ、性別役割分業の見直しに言及する表現が多く見られているのが、他の教科書の状況になっています。
 また、教育勅語の扱いもバランスを欠いていると言わざるを得ないのではないでしょうか。多くの人たちを戦争へと駆り立てていった教育勅語に対する反省はなく、父母への孝行、学問の大切さ、そして、非常時には国のための尽くす姿勢など、国民としての心得を説いた教えと記述し、近代日本人の人格の背骨をなすものとなったと表しています。教育勅語の一部要約も掲載されているわけですが、ここには、教育基本法の1条、教育の目的は、人格の形成を目指すとされた理念に対する考えが見られません。
 まだまだありますが、これは私の意見です。もちろん、アンケートにも書いてきました。しかし、こういった意見は私だけではありません。4月6日の朝日新聞の社説では、つくる会の教科書について、こんな教科書でいいのかと題し、バランスを欠き、4年前、教室で使うのにはふさわしくないと主張したが、今回も同じことを言わざるを得ないと述べています。これに対し、産経新聞では批判をしているわけです。どう判断するか、それはこの教科書を見て、この教科書がこれからの中学生の教科書としてふさわしいかどうかを判断する市民ひとりひとりにあると思います。
 では、市民への教科書展示の周知やアンケートについてどういったことがなされているのでしょうか。学校だよりなどでの呼びかけは行われているのでしょうか。また、どういった形で、市民の声は教育委員会の方々に届けられるのでしょうか。アンケートのつづり方そのものが教育委員会に報告されるのでしょうか。教育委員会は、検討委員会に対して報告を求めることができるとなっているのですが、市民意見について報告を求めなければ、こういった声は教育委員に届かないのでしょうか。お答えください。
 次に、教師の声についてです。4年前のときから、教師の声が反映しにくい仕組みになってしまいました。ILO、ユネスコの教員の地位に関する勧告によれば、教師は、生徒に最も適した教材及び方法を判断するための特別な資格を認められているのですが、こういった勧告への取り組みが見られません。というのも、学校から上がる調査用紙や調査部会が上げる調査用紙が、意見というのではなくて、それぞれの教科書の特徴を比較し、わかりやすく書くようにとなっているからです。つまり、内容に言及することが非常に難しく、分量や項目の比較といった数値的なものでの差別化にしかならないような形式になっています。これでは、現場の教師が今までの教育の蓄積や教えてきた経験のノウハウ、それに基づいて、どの教科書が使いやすいのか、時代に合っているのか、子どもたちのこれからにとって必要なことが網羅されているのかどうかといったことを判断することが調査書の中に反映されません。実際に教科書を使って、歴史、公民教育に携わる教師の意見が教科書採択のための資料としてはとても重要であると考えますが、教育委員会としてはどうお考えでしょうか。現場の声を聞く機会や、さまざまな団体の意見を聞く機会を設けていただきたいと切に要望するところです。この点についてのお考えをお聞かせください。
 次に、国際社会の声についてです。教科書検定に当たっての近隣諸国条項があります。これは加害と被害といった戦争の図式を当事者同士ですり合わせ、共通の認識を持ち、二度とこういった戦争が起こらないようにしていくことが歴史の教訓だからです。それにはきちんと戦争責任の所在を明らかにしていかなければならないのです。しかし、扶桑社の教科書では、我が国の周辺の問題というタイトルで、北方領土や尖閣諸島、竹島、北朝鮮のミサイル、拉致問題の写真が多数掲載されています。これらの写真からは、どうやって国際協調していくのかといった視点は感じられず、今にも戦争が起こるかのような危機感をあおるものとなっています。今回の検定結果は、市町村でどうすることもできないものですが、八王子の子どもたちが真に国際人として世界にはばたき、活躍していけるような教育をすることが自治体の役割でもあることを考えるならば、採択に当たって、こういった国際社会の動向も考慮すべきと思います。
 ドイツなどでこのような問題が起こっていないということで、こういったことにも言及しながらのお答えをお願いしたいと思います。
 最後に、ごみの問題について、本当に簡単にお聞きします。
 ごみの有料化その後と題して、今、随分と可燃ごみ、不燃ごみの削減が行われてきています。今、どれぐらいの削減率になっているのか。また、総資源化率がどれぐらいになっているのか。そして、このようにごみは減った、リサイクルはふえたといったところで、総量としてのごみの量はどのように変化しているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
 そして、何はともあれ、このようなごみの有料化は資源化率を高めると同時に、ごみの総量そのものを減らしていく取り組みでもあるわけです。そのようなごみの総量を減らすため、今、市で行っているのは生ごみ処理機の補助金制度になっています。有料化が始まって大変関心も持たれているところですが、これはどれぐらいの申請者があるのかをお聞きしたいと思います。
 これで2回目の質問を終わります。

【秋山進副議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。
                               〔午後3時00分休憩〕
----------------------------------------------------------------------------------
                               〔午後3時30分再開〕

【飯沢俊一議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。
 第9番、陣内泰子議員の第2回目の質問に対する答弁を求めます。
 総務部長。

【下田豊総務部長】 国勢調査に関してお答えいたします。
 まず、国政調査結果の使用例ですが、本市の場合で申し上げます。まず、財政課では、普通交付税の需要額の算出の基礎数字で使っております。防災課の方では、本市の場合には常備消防については東京都の方に委託しておりますので、委託金の算定根拠が国勢調査の人口から出てきております。それと、区画整理室、また公園課の場合なんですが、国庫補助事業の採択要件といたしまして、国勢調査に基づく人口集中地区区域内もしくは隣接地区であるということが事業箇所の必要な条件となりますので、直近の国勢調査の結果がその際に使用されております。
 それから、聞き取り調査の関係でございますが、調査員が世帯員と接触できない場合の調査手法としては、聞き取り調査によることが国から示されている手法でございますので、これに沿った形での対応を考えております。
 それから、調査員の人数、選任方法、公募の関係でございますが、調査員の人数につきましては約3,900人。それから、選任方法につきましては、町会、自治会から推薦をいただくということを基本として考えておりまして、同時に、公募も進めているところでございます。公募につきましては国勢調査ということで限定はしておりませんが、統計関係での調査員をしていただきたいということで、12月1日の広報で呼びかけております。2月1日現在、約100人の応募がございました。7月1日の広報でさらに公募をしてまいります。
 それから、調査員を選ぶに当たっての問題点、クロス配置の関係にも絡むんですが、調査員を選ぶに当たっての問題点、先ほどもお答えした部分、それから、御質問者の中にもあった点でございますが、調査員の中には近所の調査はしたくないというお考えの方、それから、世帯の中には知っている調査員には調査票を渡したくない、そういう声がございます。それと、場合によっては顔を知らない調査員に調査票を渡すのは不安だ、こういう声もございますので、私どもが町会、自治会に調査員の推薦をお願いする際も、調査員については、なるだけ町会の中ですけれども、調査員が自分の住んでいるところを対象としないように、少し離れたところの調査員をお願いしたい、これがどちらかというと、クロス調査というような形になろうかと思うんですが、そういうことを考えております。
 選ぶに当たっての問題点ですが、先ほどございましたとおり、最近、オートロック式のマンションがふえておりますので、居住者以外の調査員による調査が大変困難な状況になっております。そうした中では、管理組合や管理会社の協力を得る、そういう必要が出てきているところでございます。
 それから、指導員の業務内容等の関係でございますが、指導員は調査員が取りまとめた調査書類を提出してきますので、それを受け取る、これに約100人の指導員が当たります。この100人については民間から選任いたします。それから、受け取りました後、調査票自体の中身の点検につきましては、10月上旬から中旬にかけて、受け付け自体は本庁舎と13事務所で同時進行的に受け付けをするんですが、その書類の審査を約350名の指導員が対応いたします。この350人については市の職員から選任いたします。審査事務につきましては、10月中旬から下旬にかけまして、本庁舎内の会議室で行うことにしております。
 審査を行う時間帯でございますけれども、通常業務時間外である平日の夜間、また、土曜日、日曜日を考えております。
 封入された調査票の関係、また、その周知方法でございますけれども、封入提出された調査票は、調査員が内容を点検しないで、そのまま市の方に提出してまいります。その後、実施本部員の立ち会いのもとに指導員が開封して、内容を点検します。記入漏れ等があった場合には、実施本部員が、それぞれの世帯に電話で照会をいたします。周知方法につきましては、全戸に配布する封筒を用いて、封入提出することが可能である。この旨を9月1日号の広報はちおうじでお知らせすることにしております。

【飯沢俊一議長】 教育指導担当参事。

【岡本昌己教育指導担当参事】 教科書関連でございます。
 都の教科書調査研究資料の件でございますが、6月10日金曜日夕方、本市の方にも配達されてまいりました。
 取り扱いでございますが、教育委員会用として5部送られてまいりました。この扱いにつきましては、採択権者による実際の選択により参考になるものということで、採択時の参考資料という位置づけでございますので、教育委員の方に配付する予定でございます。したがいまして、調査項目等につきましては、調査部会、あるいは検討委員会等にはお示しする予定ではございません。
 なお、都の調査研究資料でございますが、6月末に都のホームページの方に掲載されるというふうに聞いているところでございます。
 続きまして、後段の市民の方へのPR等でございますけれども、まず、広報はちおうじの6月1日号、市のホームページで市民の方にお知らせしております。また、展示会場におきまして意見箱を設置いたしまして、広く市民の方から意見が伺えるようにしております。
 学校だよりへの掲載でございますが、特に掲載したという報告は聞いておりません。
 それから、市民の方が見本本を見る機会をつくる努力ということでございますが、教育センターにおきまして、6月7日から6月30日までは、土日も含めまして、見本本の2セットを展示しております。さらに7月から8月の平日も展示をしていく予定でございます。
 さらに、学校回覧が、今、終了したところでございますけれども、これを市立の図書館の方にも置いていきたいというふうに準備を進めております。
 それから、市民の方からのアンケートの関係でございますが、これにつきましては意見箱を設置して回収した意見は、選定検討委員会に配付されて、調査報告書に反映され、それが教育委員に提供される、そのような流れになっております。したがいまして、教育委員が直接アンケートそのものを見るという準備はしておりませんが、委員の求めがあれば、アンケートのつづりそのものも提供したいというふうに考えております。
 それから、教師の意見を聞く仕組みでございますけれども、採択に当たりましては、各学校及び教科別の調査部会の調査結果が選定検討委員会に報告されて、調査報告書を作成いたしますので、教員及び各学校の意見は反映されているというふうに考えております。
 最後に、国際協調していける教科書づくり、ドイツの問題なども含めてというお話がございましたが、戦後、ドイツとポーランドで共同研究をして、歴史教科書に反映させたという話は聞いております。また、日本と韓国でも、第2期の歴史共同研究が始まると聞いております。いずれにいたしましても、国際理解と国際協調が必要であるというふうにとらえております。

【飯沢俊一議長】 清掃事業担当部長。

【石垣繁雄清掃事業担当部長】 ごみの関係で、幾つか御質問いただきましたので、お答えいたします。
 まず、10月の有料化後の減量状況ということでございますが、平成15年10月から平成16年4月までの7ヵ月間と、平成16年10月から平成17年4月までの7ヵ月間の比較をいたしますと、家庭系可燃ごみで33.4%、同じく家庭系不燃ごみで29.7%、平均で32.7%の減量でございます。
 次に、総排出量はということでございますが、ごみの総排出量につきましては、資源となるものを含めまして、ごみの収集処分の実績は、平成15年度は19万4,525トン、平成16年度は18万4,933トンとなりました。このうち資源物については15年度が1万6,510トン、16年度は2万3,603トンとなっております。
 次に、1人当たりのごみの排出量ということでございます。13年度は1人当たりの排出量が666グラムということでございましたが、今回、16年度、市民1人当たりの1日の排出量は1年間で570グラムとなっております。ちなみに、有料化後、10月からの半年間の部分では目標の500グラムを切っているところでございます。
 それから、資源化率でございますが、有料化が始まる前、本市の資源化率は15年度は20%でございましたけれども、平成16年度の資源化率は1年間で24.3%となりました。これも、ちなみに、有料化後の半年間で計算いたしますと約29%になっております。
 最後に、処理機の状況でございますが、これにつきましては、補助金全体が16年度で999万8,600円支出いたしました。申請者は合計で1,222人。そのうちコンポストが143台で11.7%、密閉式堆肥化容器が44台で3.6%。電気式処理機は1,035台で84.7%となっております。

【飯沢俊一議長】 第9番、陣内泰子議員。
                   〔9番議員登壇〕

【9番陣内泰子議員】 いろいろ御答弁をいただきました。
 まず、国勢調査についてですが、公募の調査員、今、100名が決まっており、またさらに募集するということです。ぜひ個人情報保護マニュアルに沿った、徹底した事前の打ち合わせですね。調査員との打ち合わせを徹底していただき、市民の方に対しての不安がないような形でこの公募の方々の調査活動を市としても積極的にサポートしていただきたいと思います。
 調査票の未記入に対しての件ですが、実施本部の職員が電話で対応するというお答えがありました。電話番号は任意の記入になっております。ここで、電話番号を書いていないケースについては、電話番号を書かないという選択をしたのは個人の意思ということで、それ以上の調査といいますか、その時点での調査完了という扱いにしていただきたいと、これは強く要望いたします。
 国勢調査に関してですが、先日の金沢地裁での個人情報コントロール権についての画期的な裁判が出たところであります。これは、個人情報はまさに憲法に保障された権利であるというふうに言っているわけです。また、そういう配慮がこれからの国勢調査においてもますます必要となるわけで、総務省の担当官の方からも、この国勢調査のあり方については、私見としながらも、変更並びに検討の意見が出されているところです。調査員の質を確保できない。未調査がふえている。経費がかかり過ぎる等の問題が出されているわけです。
 そこで、ぜひ市長にお伺いいたしますが、こういった今回の調査に関しては、個人情報に配慮するという方針を伺っておりますが、さらに一層、自己情報コントロール権を尊重した取り組み、先ほどの電話等の件ですが、そういうことに配慮した取り組みを行っていただきたい。また、国に対しても、国勢調査の項目等の変更等を要望していただきたいと思いますが、それについての市長の御意見をお伺いいたしたいと思います。
 教科書採択についてです。やっぱり問題なのは、10日に来た、東京都教育委員会から5部出される調査資料です。市民が出したアンケートは検討委員会レベルでの集約になり、生の声そのものは教育委員会に届かないという形になって、検討委員会の報告書の中に反映されるという御意見でした。なぜ都の教育委員会の恣意的な調査資料だけが教育委員会に提出されるのかということに対しては多くの疑問を感じます。それであるならば、個々人、さまざまな団体が同じような調査資料を教育委員会に提出することもよしとするということなのでしょうか。それについてお答えいただきたいと思います。
 ぜひ教育長にお伺いしたいと思いますが、さまざまな意見がある中で、ぜひ平和主義を掲げた憲法、そして、行政からの不当な介入を排することを明示した教育基本法にのっとった、今の社会のコンセンサスがどこにあるのか、まさに市民の声、現場教師の声、国際社会の声を広く聴取した形での教育委員会による採択、教科書決定であってもらいたいと思います。
 先日市長は、日露戦争で勝ってよかった、植民地にならなかったからと述べておられます。これは同時に、植民地になった朝鮮半島の人々に対する痛みをも理解することにつながるわけです。なぜなら、そこからなぜ戦争になったのか、二度と戦争を繰り返さないためにはどうすればいいのかということを考えなければならないと思います。ぜひ教育長の御意見をお聞きして終わりたいと思います。

【飯沢俊一議長】 教育指導担当参事。

【岡本昌己教育指導担当参事】 教科書関連で、市民の方のアンケートというお話がございましたが、別にこれは教育委員に配付するのを拒んでいるわけではございませんので、配付する形で十分に検討していきたいと思いますし、市民の方からこれまでに寄せられているさまざまな要望書、資料等につきましては、すべて教育委員の方に手渡してございますので、そのような扱いということで、御理解をいただきたいというふうに思っております。

【飯沢俊一議長】 石川教育長。
                   〔教育長登壇〕

【石川和昭教育長】 質問者の趣旨は、憲法、教育基本法にのっとった教科書としてふさわしい教科書を採択すべきである、この点について教育長の意見はどうかということだろうと思います。
 本市で採択される教科用図書は、本市の教育課題、子どもたちの実態に応じた内容のものが採択されるべきであると考えております。また、採択に当たっては、憲法や教育基本法を初めとした諸法令を遵守し、適正かつ公正に教科用図書を採択してまいります。

【飯沢俊一議長】 黒須市長。
                   〔市長登壇〕

【黒須隆一市長】 第9番、陣内泰子議員の質問にお答えいたします。
 国勢調査について自己情報コントロール権を尊重した取り組みを行ってほしいとの質問でございます。国勢調査は、人口、世帯、産業構造等の実態を明らかにし、国や地方公共団体における各種行政施策の基礎資料を得ることを目的としているわけであります。調査手法の見直しにつきましては、必要に応じて、東京都を通して、国に要望してきております。今回調査では、個人情報を守る観点から、調査員に調査票を見られたくない人が利用できる封筒をすべての世帯に配布することになっております。これも改善点の1つだろうと思います。
 また、本年度実施の調査におきましても、市民の意見や要望を踏まえまして、国へ改善提案をしてまいります。
 調査の実施に当たりましては、個人情報の保護に一層留意しつつ、法の趣旨に照らし、正確、かつ円滑な調査を行う必要があると考えております。

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