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2004年度 決算意見 |
無所属の陣内やすこです。 2004年度八王子市一般会計および特別会計決算について、意見を申し上げます。 2004年度も前年に引き続き、市税収入は減少となり、市民税においては、10億4000万あまり、そして、法人市民税も5000万円あまりの減少額です。法人市民税の落ち込みは、特殊事情ということで、構造的な問題ではないとのことですが、個人市民税においては、給与所得の減少が原因であり、これは不安定な非正規労働者の増加という大きな社会問題を背景にしており、国民健康保険の加入者の増でもそれは明らかです。 高齢者の増加、生活保護世帯の増加といった、生産人口が増えない中で、給与所得総額がプラスに転じてきたということは、それだけ、所得格差が広がってきたということの現われでもあります。 こういった状況のなかで、地方自治体がすべきことは何か、ということが改めて問われていると言えます。 2004年度の大きな特徴的な事業展開は、ごみの有料化が始まったことです。担当課を始め、全庁をあげての取り組みによって、目標の25%減量を大きく上回る成果を達成できたことは評価いたします。しかし、 税金の二重取りと言う批判もあるように、市民全体へ広く、あらたな金銭的負担増を強いるものであることから、その収支は厳しく精査されなければなりません。 私は、ごみの有料化に当たり、ごみ減量施策として、有料化以前にすべきことがあると指摘してきました。それはどうやってごみの資源化を図り、循環型社会にしていくか、ということですが、予算がないということで、指定袋収入をごみ減量施策に当てていくということでした。しかし、決算を見るならば、指定袋収入の3分の1が燃やされる指定袋製造費と啓発費用、資源分別に3分の1、そして、みどり基金とごみの焼却・破砕処理に残り3分の1というものです。発生抑制の仕組みがつくられていないことから、ごみ減量のインセンティブは下がってきています。有料化の導入が早すぎたといえます。 また、指定袋製造に関しても、8回にも及ぶ契約が、費用の圧縮、事務の効率化に結果として結びついていないといえます。 教育についてです。学校の耐震事業が前倒しで実施され、終了予定期間の短縮が図られました。また、トイレの改善も図られたことは評価いたしますが、ハード面にくらべて、ソフト部分、つまり人材の配置と言うことに関しては、不十分であったといえます。 教育現場に人の配置がいかに必要かということは、教育長自身も認識されていることですが、一番、費用がかかることでもあります。しかし、誰もが望む場所で教育を受ける権利があることは当然のことであり、学力の向上のみが教育目標ではありません。人材の育成にもっと予算を増額することを要望します。 事業の透明性、ならびに説明責任についてです。 中央道インター北地区基盤整備促進事業については、事業の計画性に問題があり、予算が執行できませんでした。事業の厳選と言いつつも、まさに実効性のない希望的観測であったことが、この未執行と言う事態から明らかになりました。八王子駅南口再開発事業についてもそうです。具体的な事業計画、資金計画が示されないまま、少しずつその内容を変えてきています。ぺデストリアンデッキの設計費は、今年度の繰越明許費となったわけですが、いつの間にか、ミニ市役所を再開発ビルのなかにオープンさせるという話になっています。賑わいの創出、市民の利便性、と言うことで説明されていますが、果たして、この事業が行政としてやるべき優先課題であるのかどうか、全体計画が見えないなかで、判断ができません。 また、東海大学病院の建設にかかわる資金援助に関しても、根拠文書の公開がなされず、十分な説明責任を果たしているとはいえません。さらに、税の投入に見合う、効果測定がなされていないことも問題です。 市民との協働は、これからの行政運営に欠かせない大きな柱ですが、そのためにも説明責任や事業の透明性がたんぽされていなければなりません。 本決算は、厳しい財政状況の中で、市民との協働、福祉、教育、医療、都市基盤整備、産業振興、環境などの主要課題に取り組み、元気なまち、八王子を目指して、効果的に財源を配分し、事業を実施した結果と言うことですが、先ほども述べたような、所得格差の広がりにどう対応し、地域再生のプログラムを提示するかといった、現状認識に基づく具体的戦略に欠けたものとなっています。税制改悪による増税が次々と市民生活に追い討ちをかける今、行政としてやるべきことは、セフティネットの張りなおしによる市民生活の安定であり、人材の育成であって、考え方の違いで済まされる問題ではありません。民間委託により、経費削減をしても、このことは全体として非正規の労働者を増やすこととなり、結果として更なる行政課題が生じてくることを考えれば、安易に進めるべきことではありません。八王子市民の現状に対して、本決算で足りなかったことは何か、その認識をもって次年度の予算立てをしていただきたいと要望して、意見とします。 <ページトップへ> |