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2009年_決算審査特別委員会(第3日目)決算認定に反対討論(2009.10.14) |
決算認定に関する反対討論 |
◎陣内泰子委員 市民自治の会の陣内泰子です。 2008年度一般会計及び各特別会計歳入歳出決算認定についての意見を申し上げます。 2008年度一般会計の当初予算は、1,713億円でスタートいたしました。これは9年ぶりの1,700億円台になっていて、歳入増の背景として、老年者控除の廃止や定率減税の廃止、住民税の一律6%になった税制改正などを受けての市税収入増12億8,000万円、しかし、その半分の6億円余りが税制改正の影響のものであり、減少し続ける勤労収入の中、市民生活は大変厳しい状況の中での市政運営のスタートでありました。市税収入見通しは明るいというものでありましたが、2008年9月、アメリカのリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した金融危機、100年に一度と言われる世界的経済不況に見舞われ、日本経済は大きな打撃を受けています。八王子の市民生活もより一層の厳しさを増し、人口増による個人市民税の増はあるものの、法人市民税は15億円の減、結果として昨年比市税収入3億4,616万円の減収で迎えた決算となりました。 この1年間を振り返ってみて、地方自治体として何をしなければならないのかということを改めて強く考えさせられました。地方自治の任務は、福祉の増進に努める、これに尽きるわけです。この観点から2008年の事業を点検すると、集中豪雨による災害復旧対策並びに中小企業への事業資金助成緊急経済対策は、全庁を挙げての取り組み、迅速性を高く評価いたします。しかし、その一方で、ふえ続ける生活保護施策については、人員体制のおくれから当面の対策に終始し、自立支援、就業支援へとつなげる、先を見通した支援が十分でなかったことは否めません。今後も厳しい市民生活が予想されることから、大幅な人員増並びに多様な支援策の実施を要望いたします。 世帯主の失業や離職などの生活不安、勤労収入の減はもろに家庭生活を不安に陥れ、子どものいる家庭においては、その影響を真っ先に受けるのが子どもたちと言えます。どのような状況に置かれていても、子どもの健やかな成長を保障するのが自治体の役目であり、経済不安や障害など、子どもの力ではどうにもならない外的要因から受ける影響を最小限に食いとめるのが自治体としてやらなければならないことでもあります。教育の役割は、次世代の育成であると同時に、貧困の防波堤でもあると言えるからです。しかしながら、八王子の教育予算は大変貧しいものになっています。国が最低限、これくらいの教育をとして算定した基準財政需要額に占める教育費の6割しか中学校費では予算化されていなかったのが2007年度です。多摩26市中で最低の基準です。2008年度の統計は出ていませんが、歳出に占める教育費の割合が減少していることを考えるならば、同様の結果であることは容易に想像できます。 スタートにおいてこのような状況だった上に、この1年間、何ら特別な対策がとられることもありませんでした。そればかりか決算において、当初予算から3億6,000万円減、不用額として6億3,000万円、合わせて10億円余りが教育費として使われなかったことも明らかになりました。このことによって教育費の歳出に占める割合は、もともと前年比3.1%減であった当初予算よりさらに0.1%低くなるという結果でした。 分科会審査の中でも教育費をきちんと保障するようにとの問いに対し、理事者からは財布の中身は限られている。将来への投資は国がもっと充てるべきとのお答えもありました。もちろん一義的にはそうでしょう。しかし、国も少ない額とはいえ、特別支援教育については1校当たり120万円、八王子の場合総額で1億3,000万円余りが地方財政措置されています。にもかかわらず、それが特別支援のサポートに十分回っていないということも明らかになりました。支援が必要な子どもに配慮するのは日本も署名した国際障害者権利条約がうたう合理的配慮であり、当然のことであります。つまり、せめて1校120万円ぐらいかけて、特別な支援を必要とする子どもたちに配慮するようにというのが国の意思なのですが、実際には総額で5,000万円程度しか使われていません。では何に使われているのかというならば、高尾山学園運営などの不登校支援のサポートに回っていることも明らかになりました。高尾山学園は2004年度に開校し、市の独自予算で運営されてきています。2007年度から特別支援教育という新たな教育ニーズが加わったのですから、当然教育費は増加して当たり前なところです。ところが、そうなっていない。少ないパイを多くのニーズで分け合うという結果になってしまっているのです。 学校図書費についても、基準財政需要額で積算された図書費を中学校においても小学校においても満たしていない状況です。中学校では半分しか予算化されていません。大きな問題です。 就学援助費についてです。就学援助の認定率は前年に比べて増加しています。小学校で15.1%、中学校で16.8%です。そして、経済的理由で長期欠席者が2名いるということが、教育統計の中で明らかになっています。就学援助があってもなお就学が困難なケースがあるということです。不登校やその他の理由で長期欠席の中学生465人の中にも同様の問題を抱えているケースもあるかと思われます。秋以降の経済不況の対策として、広報や学校を通して、制度の周知を図ったということではありますが、経済的支援の必要な子どもたちを今の基準でフォローできているのか。支援の額が妥当なのかどうか。きちんと調査する必要があります。 日本では、教育支出の私的負担が大きく、家庭を圧迫しています。高校進学が無償化になったとしても、そこにまで至る学習支援や経済的支援が欠かせないことは言うまでもありません。 次に、教育費に占める人件費、物件費についてです。児童生徒の数は微増しています。教育ニーズも多様になってきています。そのような中で、教育の果たす役割はますます重要です。その中心の役割を担うのが、教師を初めとした教員、教育人材です。教育長は常日ごろからマンパワーが必要、重要との見解を示されているのですが、教育費に占める人件費、物件費を見るならば、減少し続けてきています。財政白書では人員抑制等の努力、経費節減努力としていますが、限界ではないでしょうか。 教育費、人件費について、2008年の教育人件費並びに物件費は黒須市長就任の2000年度の70%弱でしかありません。教師をサポートするアシスタントティーチャーなどの人材がふえないこと、時間講師が多くなってきていること、図書館司書の未配置などがその影響と言えます。教育支援ボランティアや人材バンクの取り組みも始まっているのですが、きちんと責任を持って子どもの教育に当たる人材の配置と均等待遇をベースにした労働の対価への支払いが必要です。教育の成果はすぐにあらわれるものではありません。しかし、厳しい時代であるからこそ将来を担う子どもたちが夢と希望を持てるような投資をするのが大人の役割であると思っています。 子どもの貧困並びに学校でのセーフティー網の強化に向けて、教育委員会全体での政策実現能力のアップを期待し、また、2008年度における教育費の以上の問題点が改善されることを切に要望して、意見といたします。 <ページトップへ> |