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2009年_第1回定例会(第4日目) 一般予算反対討論 (2009.3.27)
◎【9番陣内泰子議員】 市民自治の会の陣内泰子です。それでは、2009年度八王子市一般会計予算及び各特別会計並びに関連議案に対して反対の立場から討論を行います。
 一般会計予算規模は1,836億円です。9年ぶりに1,700億円台の予算規模であったという昨年に比べて、何と7.2%増になっております。やすやすと 1,800億円台を突破し、身の丈以上の大盤振る舞いの様相であります。歳入増の背景として、前年比66%強となった市債発行、財政調整基金17億 5,000万円、公共施設整備基金からの20億円などの基金の取り崩しが47億7,500万円にもなっています。財政調整基金の2009年度末現在高はわずか20億円でしかありません。法人市民税が21億円の減収になっている中、今後、個人市民税の落ち込みが予想されるわけで、市税の予算額を額面どおり当てにできるかどうかも、大変心もとない状況の中で、これだけしかない財政調整基金で果たしていいのか、大変危惧されます。
 貯金をつぎ込み、かつ、借金で財源不足を補い、大型予算を組むという手法は、国と同様です。アメリカのサブプライムローン証券化の破綻を契機とする世界経済金融危機は、 100年に一度の危機となり、アメリカを初めさまざまな対策が行われているにもかかわらず、一向にその先行きが見通せない状況であります。
 そのような中、政府は、国民の7割が反対した2兆円規模の定額給付金を825億円の事務費を使ってばらまき、景気の活性化を、と言うのですが、戦後最長ともいわれた景気上昇の恩恵が家計部門には及ばず、低コスト、低価格競争の中、非正規労働者の拡大という形で、働く者は疲弊し切っています。
 また、非正規労働者から始まった雇用リストラが、正規労働者にまで波及する事態となり、ワークシェアリングという名のもとにおいて賃金が引き下げられようとしています。打開の道として、内需主導の安定型成長への転換が求められているにもかかわらず、それはかけ声だけに終わっている状況です。内需を下支えするためには、正規、非正規間の労働格差是正、生活保障機能を強化した福祉システムの構築、教育への公的支出の引き上げ、環境政策の強化をと、専修大学の教授、町田俊彦氏は言うのですが、政府の対応は、雇用保険料の引き下げなど、目先の手取りをふやすことと、企業負担の軽減に終始していると言えます。このような状況で、直接的市民の生活を守る自治体への期待は高まっているわけです。
 本予算の歳出を見ると、投資的経費が前年比で54%もふえています。210億円から324億円に膨らんだその要因は、本庁舎の改修工事、新市民会館の整備、中央地区事務所の新設、南口再開発関連事業、小中学校の校舎改築、耐震補強対策などとなっています。
 本当にこれらの建設工事がすべて必要なものと言えるのでしょうか。八王子駅南口再開発事業並びにそれに伴う新市民会館整備、中央地域事務所新設の負担が大きく市財政に負の影響を及ぼし、予算をいびつなものにしています。南口再開発事業は民間事業がやっていることと言っていたにもかかわらず、何と、その総事業費のうち、駐輪場整備までをも含めれば、先ほどもありましたように、約60%が公費負担になっています。もはや民間事業とは言いがたい費用割合であるにもかかわらず、市のコントロールが及ばない状況になっています。駐輪場整備を含む市の負担総額は166億円、そのうち市債は95億円にもなっています。せめて市が発注者となる新市民会館部分についての分離発注をという議会の声も、何ら成果を見ることなく、現在も指名停止業者になっている大林組に約83億円も支払われるということも明らかになりました。
 2008年1月、覚書の変更をして、議会の承認なしで工事着工したことが大きな禍根となっています。提案説明では、市民サービスの確保と、継続事業の着実な実施を優先したとなっているのですが、この南口再開発事業優先の根拠そのものが不透明であることから、今回の予算は大きく市民の信頼を損なうものと言えます。
 また、継続事業優先と言いつつも、新体育館建設に向けて新たな調査費用が予算計上され、新体育館建設が現実なものとなりつつあります。改めて、もう箱物はつくらない、要らないという方針を明確にし、かつ、川口地区物流開発、北西部幹線などの大型プロジェクトの凍結を求めます。
 歳出各事業については、小児病院の移転問題、そして、子どもの貧困克服のための施策、教育費の人的支援の充当などについては、予算等審査特別委員会の折、意見開陳を行いましたので、ここでは省略いたしますが、前述した町田教授が言うように、生活安定型への経済転換を図るには、自治体においても労働格差の是正、保育園待機児解消、保育料是正を含む生活保障の強化、各家庭の教育費負担の軽減と教育の充実、環境政策の強化という枠組みでの事業実施が求められていることは間違いありません。職員の方々、皆、誠実に直面する問題の解決に当たっていられることはよくわかるのですが、今、自治体に求められているのは何かという、時代を読む感覚を研ぎ澄まし、新たな発想での事業展開を期待をするものです。
 介護保険特別会計についてです。第3期介護保険事業の中で、積み増しされた介護給付費準備基金を取り崩し、保険料を引き下げ、かつ、12段階という、より細かく高齢者の生活実態に合った形での保険料設定がなされたことは、高く評価いたします。
 一方、今回の国の介護報酬の引き上げによって、どれだけそれが人件費に充当されるか定かではありません。事業所の実態把握並びに介護現場で働く人の賃金水準に対して、保険者として市は監督、指導する立場にあります。国の調査に任せておくだけではなく、市独自に監査や賃金の公開などを求める取り組みを要望いたします。
 市内業者で働く介護従事者が疲弊をする。離職をしなければならないということになれば、それは市の高齢者サービスの停滞をもたらすものであります。主任ケアマネの不足、育成の必要性等についての認識はお持ちですが、民間事業所で働く者とはいえ、介護従事者は介護保険事業という国、市の施策にのっとった事業を現場で支える人であるのですから、人ごとと考えずに、十分な人的育成のサポート、事業継続の支援が求められているところです。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、2008年度に新たに取り組まれたシルバーサポート制度や、食事提供サポートなどが十分な成果を上げられずにいます。その結果として予算減となっています。行政としても大変期待をして取り組んだ事業ということですから、ぜひ予算以上の成果を期待します。
 議論の中で明らかになったこととして、PR不足は否めないわけですが、単にPRだけの問題ではありません。これは地域包括支援センターが地域ケアの担い手として、その機能を発揮できていないことに起因しているわけです。2009年度から高齢3課体制が2課体制になり、地域支援が政策課題となっているのですが、すべてアウトソーシングしてきたことによって、市の中に現場の声を吸い上げ、それを調整するセンター機能がないことが問題です。保健所、保健センター、地域事務所、民生委員などとの連携で、地域の実情に即した地域ケアの構築が急がれます。この点に関しては、同じことを1年前の2008年度予算の討論でも触れました。まさに喫緊の課題であります。
 また、認定調査方法が4月から変わります。厚生労働省の作成した認定マニュアルは、その余りにも現実の介護状況を無視していると批判が上がっているところです。厚生労働省はそれに対して再検討するということになっておりますが、市においても、その現場での介護状況に即した認定調査が実施されることを求めたいと思います。
 最後に、保育園の指定管理者選定についてです。第40号議案、第41 号議案になります。八王子は市立保育園運営を指定管理者へと移してきております。経費削減のみならず、民間の活力を生かし、創意工夫の保育展開をすることが、その目的ということではありますが、今回の2保育園の指定管理者選考において、それぞれ1園しか応募がなく、競争による創意工夫、民間活力の導入という目的は十分に達せられていません。
 また、経費削減という目的においても、結果として民間保育園に保育士が集まりにくいという事態をもつくり出し、全体としての保育事業のレベルダウンを起こしかねないことも懸念されます。保育園運営に指定管理者制度がなじまないということが明らかになってきているわけです。この制度の再検討を求めて、反対の討論といたします。    <ページトップへ>