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2008年度第2回定例議会  第63号議案 反対討論
◎【10番陣内泰子議員】 それでは、第63号議案、市立第七中学校体育館改築工事請負契約の締結について、反対の立場から討論を行います。
 今、さきの議員からの反対討論、この討論に全面的に賛意を示すと同時に、あえて少し加えさせていただきたいと思います。
 まさにこの契約が競争性の担保がされていない中で、大変高い落札価格、99.92%、このような価格で落札されたということは問題です。
  そして、総合評価方式の問題、このことも指摘されていましたが、この総合評価方式というものは価格のみによらず、総合的に業者を選定するということで、企 業の技術力、社会力を評価の対象としているわけです。その割合は、今回の場合、価格対技術その他で20対30というもので、価格以外の評価、とりわけ技術 に大変大きな重きが置かれています。  この価格以外の評価をどうするかということは、まさに各自治体の判断に任されているのです。価格を1とした 場合、技術その他の評価を0.1から3ぐらいまでの間に決められているというのが、今、国土交通省の認識でもあります。今回の場合、ガイドラインに示され ている企業の信頼性や社会性という項目からは、市内業者かどうかということだけが評価の対象となり、男女平等の取り組みや、障害者雇用などの社会政策的課 題である地域貢献度は加味されておらず、技術評価のみに重点が置かれていることがわかります。  しかも、1位満点方式ということであることから、 技術評価の素点にさらに、げたがはかされているわけです。それほどまでに技術力を評価しなければならない工事なのか、疑問に感じます。また、それほどまで に技術力の差が出る工事なのか、疑問に感じます。というのも、2006年、第四中学校の体育館改築工事が行われました。そのときは一般競争入札で、落札し たのは、さきにもありましたように、今回、単独で応札している黒須建設と横瀬建設、この2社で組んだJVでした。しかも、そのときは出資額で言うならば、 もう1社の方が多く出しています。ということは、今回、30対10、このような大きな技術力格差、それが評価となっているわけなのですが、この第四中学校 の体育館工事におきましては、この10点という低い評価の企業の方が高い出資を出し、工事を中心的に担ったのではないかと思われます。つまり、技術力にお いてそう差が出る工事とは言えないと言えるのではないでしょうか。  また、日ごろ一緒にJVを組み、工事をしている企業同士、2社だけの入札ということで、事前に技術点が漏れるということもあるかもしれない、そう勘ぐられかねません。  このような点から、今回の技術力評価に対しては、信頼性が揺らいでいると言えます。この実力評価の大きな差があるからこそ、99.92%という高い落札率を維持できたと考えるわけで、公平性の観点から言って、この入札結果を認めることはできません。
 評価についてもう1点。企業の信頼性に対する問題ですが、談合は犯罪というモラルが醸成されにくい現状にあって、談合あるいは談合の疑いに対するペナルティーがどこにもないことが問題です。
  そして、残念なことに、黒須建設は2005年にあった解除条件付競争入札で、入札無効となった3件のうち2件に名を連ね、また、そのうちの1件において談 合があったと認めざるを得ないと、第三者機関である談合監視委員会の審議結果に記されているということが、3月の予算等審査特別委員会の中で明らかにされ たことは、自明なことです。親族企業であれば、より一層厳しく対処していただきたいものです。  次に、政治倫理的に見てどうなのか、この点につい てです。さきの議員の討論にもあるように、まさに市長の親族会社、この間、大変、市の公共事業の受注をふやし、そして受注高を大きく伸ばしております。そ して、何と、この契約において、昨年1位であった、トップであった。土木、建築合わせてその両方の受注高を既にもう超えることになる。このような状態に なっています。
 このような点を指摘されると、市長は決まって、アンフェアなことは嫌いだ、血がつながっているだけ、70年の歴史ある技術的に しっかりしている確かな企業と繰り返されます。何ら後ろめたいことはないので、政治倫理条例をつくるつもりはない、こうもおっしゃいます。しかし、何も政 治倫理条例をつくらなければならないような事情があって、既に300余りの各自治体がこの条例をつくってきているわけではありません。まさに自治体の長と して、また議員として、特定の利害関係から距離を置く。公正な施策を展開し、市民の信頼を得ていくためにも、倫理規定を設けているわけです。それだけ長は 大きな政策決定の力を持っているわけです。
 例えば、今回のこの入札の総合評価方式の導入に関しても、その入札時期、導入時期、そして内容等に関 し、最終決定は自治体の長です。また、一つ一つの入札に関するその評価項目の選定、これに関しては、副市長をトップとする内部組織で決定しています。こう いった決定それ自体は、何らしんしゃくの余地はないとしても、結果として技術力重視に重きを置くことによって、この実力重視というのは大企業有利という側 面もあるわけですが、それ自体、中立的な入札方式が、この間、受注高を伸ばし、技術力の集積を図ってきた親族企業にとって有利となり、さらなる受注高をも たらし、寡占化していく、こういった図式になりかねません。
 これでは、市内業者の健全な育成に関して責任を持つ長として、その責任を果たしているとは言えませんし、意図しないところとはいえ、結果として親族企業に利するこのような結果に対しての責任は、まさに長にあります。
  もちろん、市長が親族会社に何かしたというわけではありませんが、事実、黒須市政のもとで親族会社が市の公共事業を多く請け負って、飛躍的に受注高を伸ば してきている。これは事実であり、また、市民の目線から見てもとても納得のいくものではありません。このことから、市政の信頼性を得ていくためにも、市長 にとっても、市民にとっても、このような事態が続くことは大変不幸なことです。だからこそ、きっぱりと、市長在任の間は親族会社の市の工事受注を遠慮して いただく、その必要があると申し上げ、反対討論といたします。そして、八王子市議会においても政治倫理条例、まさに市政に対してその責任を果たしていける 議会として、きちんとした政治倫理条例をつくっていきたい。そのために努力していきたいと申し上げ、終わります。


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