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2006年  第3回定例議会  討論 (9月26日) |
要旨 高尾の里整備に関する補正予算の反対 |
◎【9番陣内泰子議員】 無所属の陣内泰子です。 第72号、平成18年度一般補正予算のうち、高尾の里整備における実施計画費並びに測量として計上された補正予算分に対し反対の立場から討論を行います。 高尾の山ろくに位置する都立高尾自然科学博物館が地域性が強いなどの理由で都から市に無償譲渡されたのが2005年4月のことです。そのとき、5年以内に博物館機能を持った同程度の施設を建てることが条件とされました。そして、市はこの博物館用地の利用も含め、この一帯を高尾の里として整備していく方針を出し、高尾の里整備検討協議会がつくられ、議論されてきたわけです。その提言書が出されたのがことしの4月です。 その提言書によれば、高尾の里の基本理念は、新しい門前町、つまり、高尾山とその周辺の資源と魅力を十分に引き出しながら、新しい展開を地元の人々の手で築いていく姿にあるとしています。何と言っても高尾山の自然が最大の宝なわけです。さらに8万点に及ぶ収蔵品は高尾山の自然と密接にかかわりがあり、ここでの展示や情報発信が高尾山のフィールドをよりわかりやすく理解でき、かつ学習できる環境を提供することになり、計画に当たって高尾山の自然の玄関口という認識を共有する必要があるとも指摘しています。 そして、この点を踏まえて、新施設の持つ機能を博物館機能、体験学習機能、交流機能、観光情報発信機能と提言しているのですが、具体的にこれらの機能をどう新施設の中で展開するのかというところまでには言及していません。まさに提言として出されたこの高尾の里に関する大枠に対しどう肉づけしていくのかということが市と市民によってなされなければならない課題としてあるわけです。 整備検討協議会の席上でも、高尾の自然科学博物館を考える会からの博物館構想、そして、八王子市西南部地区環境市民会議からの高尾ふれあいの里リフレッシュ構想としてエコミュージアム構想などが提案されていたわけですが、検討協議会では、高尾の里全体を議論する場であるということで今後の課題とされてきています。こういった経過を考えるならば、今市がしなければならないことは、新施設のより具体的な検討並びに市民との合意であり、市全体から見た博物館構想の中での位置づけを明確にすることであります。 6月の第2回定例議会において、私は博物館機能としての新施設の具体的な検討はどこが、だれが、どのように行うのかを質問してきました。また、学芸員や自然科学の専門家の必要性、市民団体の意見、そして、稲荷山小学校に保存されている資料の活用なり、この新施設との関連性などについても質問いたしました。それに対し、市民団体や専門家の意見を聞きながら施設整備に反映していく。高尾の里の拠点施設として、必要な機能と質を確保するために専門家の必要性は認識している。また、収蔵品に関しては、稲荷山小学校だけではなく他の施設での活用も考えているとの答弁でした。 この答弁から考えても、早急に市民団体や高尾自然科学博物館を拠点に活動してきたフィールドでの活動団体、自然保護団体などと、自然科学系の博物館機能としてのこの施設の役割、他施設との連携、位置づけなどの合意を図る必要があり、それがなければ施設の設計も当然できないと思われます。高尾の里整備検討協議会のメンバーに自然科学系の専門家が入っていなかったのですから、まさにこれからの作業です。 8月30日、高尾の自然科学博物館を考える会から教育委員会へ、建設基本計画書が提出されたと聞いております。この会のホームページにも掲載されているということなので、こういったたたき台をもとに広く市民への周知を図りながら基本コンセプトを固めていくことが先決です。また、薬王院などの歴史資料も展示するとなると、郷土資料館との関係も出てきます。 審査された都市建設委員会でも、エコミュージアム構想との関係はどうなっているのかとの質問も出されていたようで、人文系博物館としての機能も持たせるのであるならば、当然この点も整理しなければならないことです。つまり、エコミュージアム構想というものがさまざまに議論されている中でのこの施設の位置づけを明確にしていただきたいと思うわけです。狭くとらえれば、高尾山を中心とした自然との共生の施設、広くとらえるならば、八王子市全体から見た博物館構想の中での1施設、こういった両面からの検討がいまだ不十分であり、市民への周知も十分なされておりません。このように高尾の里整備、とりわけ新施設に関しては、5年以内という期限つきであることは承知しているわけですが、だからといって、十分な議論なり合意がない中での見切り発車は許せません。 最後に、観光拠点ということで種々語られてきておりますが、提言書が意味するところは、今までの観光客に迎合した視点からの取り組みではだめである。観光後、それぞれのパーツ、つまり、商店街や広場、道路、そして、拠点施設、それぞれがみずからの役割、専門性に広がりを持たせるような仕組みで進化させること、その中から全体としての観光というバリューが付加されると言っているわけで、この願意をきちんとおくみ取りいただきたいと思います。 そして、拠点施設の専門性とは、高尾山の豊かな自然をどう市民と結びつけていくのか、この1点にあります。高尾山の貴重な植物、生息する多くの動物たち、こういった動植物たちが複雑に絡み合う世界は私たち人間がどう自然との共生を図っていけるのかを示してくれる貴重なフィールドであり、だからこそ、このフィールドに隣接して博物館あるいは博物館機能を持つ施設があるということが高尾を守ることとも同義となってきます。 こういった視点を欠く今回の高尾の里整備に向けた予算に反対をいたします。そして、博物館機能の十分なる検討を急いで行っていただきたいと要望し、反対討論を終わります。 <ページトップへ> |