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八王子城跡の史跡保全についての請願 賛成討論 |
ただいま上程されました請願19号、八王子城跡の史跡保全についての請願に対して、賛成の立場から、討論を行います。 まず、国史跡である八王子城跡が国のみならず、八王子にとっても、いかに貴重な財産であるかということに関しては、前に議員の討論の中で、十分ご理解いただけたかと思います。 今回の請願は、この国史跡の重要な拠点のひとつである御主殿の滝が涸れるという事態にたいして、速やかに現状把握と原因究明、そして現状回復措置を求めるものです。この点に関して、当たり前の要求、要望です。市の教育委員会もこの点は十分理解していることであるからこそ、都の教育委員会に要望を文書で提出しているのであり、また、都の教育委員会からも現状調査のため、担当者が現地に赴いたと聞いています。 また、国土交通省相武事務所も記者発表を行いました。 その記者発表によれば、いままで、雨が少ないためと説明してきた滝涸れの原因に対して、雨が少ないせいではないという判断から、何らかのあらたな対策を講じる必要があるといっているのです。 なぜ、滝枯れが起こっているのか、これは、政治の問題ではなく、まさに科学の問題です。そして、科学の問題に対して、正確なデータによる、解析、分析が必要であるところから、やっと今、その作業に取り掛かったといえる状況です。市と都そして文化庁、そして国土交通省、そしてこの間、八王子城跡を守る活動をしてきた市民団体との情報交換、協議を踏まえて、早急に原因究明と対応策を打ち出さなければならないわけです。そのようなときに出された請願に対して、議会としても一丸となって、国史跡を守るために力を尽くすべきときではないでしょうか。委員会での審議のなかで、市としても取り組んでいるのだから、採択する必要はないということでは、議会としての存在価値そのものが疑われかねません。 昨年の12月の町田市の廃プラスティック工場建設に関する請願でも、市としてすでに町田市に対して、申し入れを行っていたわけですが、議会としても、住民の不安を取り除くために、全会一致で可決しました。また、この1月におこった米兵によるひき逃げ事件に関しても、市長名での要請書が出されるとともに、議会からも意見書が提出されています。 このように、市がすでに取り組んでいることではあっても、議会でも見過ごしにできない問題に関しては、しっかりと意見を表明してきています。そのことによって、速やかな解決を図ることができる結果ともなっていることを考えるなら、今回の御主殿の滝涸れの問題に関しても、議会としての働きかけがぜひ必要であることは明白です。議員の方々のご賛同をお願いして、一日も早く、原因究明と対応策が取られることを願うものです。 今回の請願の審議を通して、明らかになってきたことは、市が文化財保護としての一時的な責任を持つ立場でありながら、意見の同意に当たっては、都との協議・指導、また、都は文化庁との協議・指導といった、上意下達(じょういかたつ)的な仕組みのなかで、市としての直接的な見解を持ち得ないことが大きく影響しています。今回の原因分析に関しても、国土交通省相武国道の分析発表を待つという受身の姿勢であり、自ら解析・分析を行い得ないということは文化財を預かる担当として、はなはだ弱い立場です。しかもトンネル工事が原因と疑われているそのトンネル施工当事者からの解析・分析では、科学としての客観性を保ち得ないのではないでしょうか。 本来ならば、変更決定などは文化庁長官しかおこないえないといっても、その判断のためのデータ収集を市として独自に行うぐらいの熱意を持って、国史跡保存に当たっていただきたい。今回の請願に当たっても、市民団体の調査・分析にも大いに耳を傾けていただきたいとおもうわけです。その意味で、委員会質疑のなかで、請願代表者からの説明が許可されなかったことは、はなはだ遺憾です。請願代表者からの意見表明については、施行期間とはいえども、前向きに検討されてきただけに残念です。 市長も昨年3月にまとめられた「国指定史跡八王子城跡保存管理計画書」のなかで、関東地方屈指の石垣とくるわを誇る八王子城は、現在の53万都市の八王子の名とまちの原点であります。また、国レベルの重要な史跡であり、歴史的な遺構はもちろんのこと、その自然環境も本市の重要な資源で、まちづくりにかかせません」と述べています。 2日前も御主殿の滝に行ってきました。雨が降ったこともあり、滝への道、途中の沢、そして滝つぼには水溜りができていましたが、滝そのものは復活していませんでした。いま、山は大きな傷を受け、悲鳴を上げているかのようです。岩盤が弱い場所であるとはいえ、400年以上もこの地で石垣が残ってきたことを考えると、自然の営みの中ではぐくまれてきた結果といえます。「山は水でできている、人間と同じ」とあるかたがおっしゃっていました。であるなら、いま八王子城跡がある城山は、横っ腹に大きな傷を受け、治療を求めているわけです。人間なら医者にかかり、傷の原因を究明し、治療を施す。そして、しばらく安静にしている、といったことがかんがえられるのですが、それと同様です。 一度壊された自然を取り戻すには、気の遠くなるような時間がかかります。取り返しのつかないことにならないよう、市、議会、一丸となって、国史跡を守っていくことをお願いして、賛成討論といたします。 <ページトップへ> |