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中央防災会議に浜岡原発震災専門調査会の設置を求める意見書 提案説明
【萩生田富司議長】次は、日程第9、議員提出議案第8号、中央防災会議に浜岡原発震災専門調 査会の設置を求める意見書を議題とします。
              〔議員提出議案第8号後編参熱〕
【萩生田富司議長】本案について提出者から説明を願います。
 この場合、説明時間は20分以内としますから、御了承願います。
 第9番、陣内泰子議員。
                   〔9番議員登壇〕
【9番陣内泰子議員】ただいま議題になっております議員提出議案第8号、中央防災会議に浜岡原 発震災専門調査会の設置を求める意見書につきましての提案説明を行います。
 まず、浜岡原子力発電所の概要について簡単に御説明させていただきます。
 浜岡原発は、浜松から東へ約50キロメートルの静岡県御前崎市に位置し、お茶畑が連なる牧之原台地 を背後に、遠州灘に面した海岸地帯にあります。中部電力が運転、管理を行っています。
 さて、この立地条件ですが、1964年につくられた原子炉立地審査指針によれば、立地条件として大き な事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんですが、将来においてもあると 考えられないこと、そのような場所へ原子炉を立地しなければならないとされています。つまり、原発 施設は最も恐ろしい放射能災害を防ぐために絶対に壊してはいけないものであるからこそ、こういった 指針がつくられたと言えます。
 この大きな事故の誘因となる事象とは、大地震であり、また、大津波であることは明らかです。とこ ろが、静岡県周辺は、過去数十年から数百年の周期で地震が激発している大地震銀座となっています。 1854年の安政東海地震、これはまさにマグニチュード8.4であり、1944年の東南海地震はマグニチュー ド7.9を記録しているところです。浜岡町は、原発施設がまさに建設できない立地と改めて言わなけれ ばなりません。
 そして、こういった立地であるにもかかわらず、現在1号機から4号機まで既に4機あり、また、5 号機は来年1月からの本格稼働を控えて、現在試運転中です。また、現在1号機、2号機、これは定期 点検中です。1号機は1970年、大変古いものです。そして、2号機も1973年に建設されており、まさに 老朽化が問題視されています。それぞれの発電量は、1号機は54万キロワット、2号機で84万キロワッ ト、3号機、110万キロワット、4号機で113万キロワットとなっています。そして、来春から予定の5 号機は138万キロワットの電力出力を予定しているわけですが、1号機から4号機まで100%稼働した場 合、その供給される電力量は362万キロワットとされています。
 しかし、日本の総電力設備能力の2億6,600万キロワットから比べるならば、この浜岡原発、1号機 から5号機まで100%稼働したところで1.4%にすぎません。しかも、1号機は2002年4月より定期点検 に入っています。また、4号機もひびわれが発見され、そして、運転中止になるなど、設備利用も2002 年ではわずかに33%、2003年においては53%といったものになっています。これが浜岡原発が置かれて いる現状です。
 次に、東海地震です。昨年7月、札幌市で開かれました国際測地学・地球物理学連合の総会の招待講 演で、前地震防災対策強化地域判定会長である茂木清夫さんが、直下でマグニチュード8の地震が起き る位置にある浜岡原発は極めて危険な状態だといった警告を発しています。茂木氏は、元東大地震研究 所の所長でもあり、まさに地震学界の重鎮と言われている人です。その人がこのような自然科学の学術 集会の場においてこういった発言をするということは、まさに極めて異例なことと言えます。危機感が そうさせたのでしょう。
 また、この茂木教授ばかりではなく、東海地域では現在24時間体制で東海地震に対する監視体制が敷 かれているのですが、その監視を続けている学者たちの間からも、今までとは違う異変が報告されてい ます。そして、こういった東海地震の震源域の真上にこの浜岡原発が建っているのです。
 国も、東海地震の発生が100%予測されるとして、国による直前予知対策や震災軽減対策がとられ、 また、中央防災会議では地震防災対策が行われています。そして、東海地震の想定被害は1995年の阪 神・淡路大震災を大きく上回るもので、また、死者、重傷者等甚大な数となり、さらに避難民は190万 人にも上ると見られています。この避難民190万という数は、まさに中央防災会議がホームページで公 表している被害想定によるもので、また、具体的な死傷者等の数については書かれてはありませんけれ ども、7,000人とも、また1万人とも言われているような、そのような甚大な数になっています。  東海地震、それだけでもこのような大きな被害が想定されているわけです。さらに、この地区に関し て言えば、原発施設が損傷を受け、放射能漏れによる惨事が引き起こされるということが想定されてい ます。私たちは、1986年のチェルノブイリ事故、そしてまた、1995年の阪神・淡路大震災、そして、 1999年の東海村臨界事故を経験しています。原発震災がどういったものか、多くの人は本当に現実的な 不安を抱いているところです。
 それに対して、中部電力では、耐震の安全性は安全審査会で確認済み、岩盤上に直接設置してあり、 マグニチュード8.5の地震にも耐え得るとして、何らこういった不安にこたえようとするものではあり ません。
 また、国の原子力安全・保安院が原子力発電所の耐震と安全性について次のように説明しています。 過去の地震などから想定し得る最強の地震の揺れに対しては、S1レベル、そして、現実には起こり得 ないほどの最強の地震に対するS2レベルの2段階での耐震対策を行っているというのですが、このS 2段階の揺れを600ガルというように表示しています。しかしながら、こういった揺れの記録で言えば 阪神・淡路大震災では、まさに833ガル、この600ガルを大きく上回るような揺れを記録しています。  東海地震が阪神・淡路大震災並みのものであっても、はるかにこの限界耐震値を超えているのであり ましてや、東海地震はマグニチュード8.5、さらに東海、東南海地震とのこの3つが同時発生の場合も あり得るとされており、その場合には、国はマグニチュード8.7と想定しているのです。マグニチュー ド8.5というのは、広島型の原爆に換算してみますと、そのエネルギーがまさに1,000発から6,500発の 威力に相当すると言われています。
 国が安全という根拠をそのまま私たちは本当に信用することができるのでしょうか。大惨事が生じる と、いつも想定外の事故だったと言われています。阪神・淡路の震災においても、高速道路が倒れるな どだれが予測したでしょうか。そして、常に事故が起こってから、また、被害が発生してから、対策の 不十分性が検討されるのが常でした。原発事故は起こってからでは遅いのです。その被害は静岡県だけ にとどまらず、東京をはじめとした日本全国、そして、世界各地へと甚大な影響をもたらすものです。  しかも、国が定めている耐震審査も新しい設備に対してのものですが、現在ひびわれ運転中のものや ―これは4号機です―老朽化している施設に対しての考慮は何らなされていません。何がどのよう に起こるのか、だれも予知不能で、絶対安全などということはだれも言えないのです。東海地震の緊張 が高まってきている今だからこそ、最悪のシナリオを想定して現実的な放射能災害に対する対策を国民 に示し、また、市町村ではそれらに基づく防災計画の中で放射能対策を具体化していかなければなりま せん。
 政府の中央防災会議は、地震の被害を最少限度に食いとめるために設置されたものです。東海地震に 関する専門委員会の報告によれば、警戒宣言が発せられたときの対応措置が記されています。さらに、 ことしの1月からは注意情報が追加され、注意段階での防災準備が前倒しで行われるようになりました。 しかし、ここでも浜岡原発に関しては、運転停止の準備開始となっているだけです。警戒宣言が出て、 初めて停止作業を始めるとされているわけです。しかし、原子炉は運転をやめても、膨大なウラン燃料 を抱えています。そして、その崩壊熱のために、3カ月はメルトダウンの可能性がある時期とされてい るのです。とめれば安全というのは、まさに神話でしかありません。
 原子力安全・保安院は、とめる、そして冷やす、閉じ込めるといった安全機能を保持していなければ ならないと言いますが、細かい配管がたくさんあります。このような配管の損傷などからの冷却水の漏 れなど、1つでもサイクルが狂ってくれば、こういった安全性の保持は達成できないのです。また、一 体どうやって、だれが、放射能物質の閉じ込め作業を行うのでしょうか。チェルノブイリ事故の教訓が 生かされているとは思えません。
 中央防災会議は、原発損傷後の補修方法、放射能放出による市町村や国への報告、国の対応、被災が 予想される市町村の対応、被災者の救済、退避の誘導、原発施設の閉鎖などについてシミュレーション を行い、対策を立てなければなりません。研究者レベルでの原発事故災害予想プログラムといったもの も出されていて、その被害の甚大さは想像を絶するものとなっています。こういった動きに対して、不 安を募らせるだけといった批判もありますが、これは中央防災会議が浜岡原発事故の検討をしていない 結果でもあり、また、責任転嫁にもなっています。
 東海地震が100%予測され、その緊張感が高まっている今だからこそ、中央防災会議は絶対安全とい った空疎な言葉を繰り返すのではなく、具体的な事故シミュレーションを行い、その対策を広く国民に 知らせる義務があると言えます。事故が起きたとき、家にとどまるべきか、避難所に逃れるべきか、ヨ ウ素剤はどこで手に入れたらいいのか、服用する安全基準は、自動車に乗って避難することができるの か、などなど、具体的な対策が今求められているのです。
 これは、国の原子力に依存するエネルギー政策を是とするか否か、また、特に浜岡原発の停止を求め るのか否かといった問題以前の国民の生命と安全を守るために必要な措置と言えます。このことは、被 害をできるだけ最小限にとどめるための国の責務でもあると思います。
 何とぞ議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、提案説明といたします。

【萩生田富司議長】提出者の説明は終わりました。
 本案について質疑はありませんか。
                 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
【萩生田富司議長】質疑なしと認め、進行します。

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